講師ブログ

2018/08/24

私が考える理想の講師像・理想的なスタジオの在り方について

「バレエを習いたい」と思った時に、様々なバレエ教室を見て回り、どこが一番良いか探しますよね。

費用、立地、スタジオの規模や雰囲気、講師の経歴や指導の仕方、生徒のコンクール受賞暦など。

これは目に見える部分なので、スタジオのホームページのインフォメーションを確認したり、レッスンを見学や体験すれば、ある程度明確になるところです。

では、目に見えない部分はどうでしょうか。

例えば、講師の、スタジオや指導に関する考え方、将来の展望などについてです。
習いに行く側からしたら、是非とも聞いておきたいことではないでしょうか。

入会前に、講師が面と向かって2時間も3時間も、その考えについて話してくれる、、なんてことはなかなか有り得ないと思います。

入会後に、講師との考え方が違うことに気づき、こんなはずではなかったということになっては、お互いに辛くなってしまいますね。

私もそれは避けたいことです。
私の考え方に共感し、「先生に習いたい!」と言って来てくれること程、嬉しく、やりがいのあることはありません。

逆にそうでない方に習いに来てもらっても、満足してもらえないだけでなく、こちらも申し訳なく思ってしまいますので、ここに私の指導やスタジオに対する考え方について書いていきます。

「生徒のことを一番に考えられる、生徒のためのスタジオを」

うちは小規模のスタジオですので、一度に沢山の生徒さんは入れません。ですので、大勢の仲間の中で競いながら切磋琢磨していきたいという方には向きません。しかし、クラスの人数が少ない分、一人一人には目が行き届きやすくなります。競い合う環境ではない分、人間関係も良好で年齢に関係なく皆とても仲が良いです。

レッスンに関しては、バレエを習うからには、正しいポジション、正確な動きを、きちんと身に付けていって欲しいという思いで指導にあたっています。

バレエを習い始めた小さいうちから、基礎をしっかり身に付けていけるようなレッスンを心掛けています。そして生徒一人一人がそれを身に付けられるように気を配ります。

生徒さんの中には、バレエの土台が作られた頃に、もっと大きい規模のところで踊りたいと、思うようになることがあるかもしれません。

そんな時は、親がそれを言ってきたり、メールで連絡してきたりするのではなく、

(以前に、上手な子が沢山いるところで踊りたいからここは辞めたいと親御さんからメールが来て、それきりになった例がありました。

 辞める連絡をする前から既に他の教室で習い始めたり、メールでこのように片付けられては、感謝や尊敬のどんな言葉も、偽りに聞こえてきてしまいますので)

その真剣な思いは、直接生徒さんから聞かせてきて欲しいと思います。

そうして本人が誠意を見せてくれたら、こちらも「頑張れ!」と背中を押してあげたいと思います。

もちろん、教え子が巣立って行くのは教師としては寂しいものです。でも、生徒さんの思いを一番に尊重出来る、応援してあげられるスタジオというのが、本来あるべき姿なのかなと。

バレエの世界は狭く、バレエの先生はどうしても生徒を自分の中に囲いたがります。生徒は辞めたくても辞められないというような状況に陥りがちです。

私はそんな先生の気持ちも、生徒の気持ちも、どちらも経験しているのでよく分かります。

でも、バレエの教室で、一番は先生ではなく、生徒です。

先生が一番になってしまうのは、私は違うと思います。

もちろん指導者は一番上に立って指導し、生徒はその指導に従います。生徒は先生を尊敬し、指導を受けます。これはとても正しいことです。

そういう意味の一番ではなく、「先生が一番になる」というのは、

先生が権力で生徒を支配したり、発表会で先生が(自分が踊りたくて)主役を踊るなど。

先生やゲストのダンサーが主役を踊って、周りを生徒達が固める、、という発表会をよく見かけます。

これは、生徒が先生の踊りをすごく見たいとか、プロの人と一緒に舞台に立って生徒が良い経験が出来るという理由で、そうしているのなら、良いのかもしれません。

でも、先生やゲストダンサーが主役を踊る費用を、群舞を踊る生徒達が発表会費として負担しているとしたら、、

どうでしょうか。

主役ゲストを呼んでくる費用、先生の相手役のゲストを呼んでくる費用などは全て、生徒ではなく先生自身が負担してくれるのでしょうか。

さらに、発表会を豪華にしたいとか、その教室を立派に見せたくて、主役はゲストダンサーを呼んで踊ってもらう、、なんていう目的だとしたら、、

全く生徒目線ではありませんね。

これはあくまで私個人の意見ですが、私が母親として発表会を見た時に、私が見たいのは、自分の娘達の踊っている姿です。これが見られれば十分です。

先生の踊りや、プロのダンサーの踊りを、娘達の発表会で見たいとは思いません。プロの踊りを見たければ、バレエ団の公演に足を運びます。

バレエスタジオは誰のためにあるのか、、、

生徒のためです。先生は生徒が大きく成長できるようにサポートする立場です。

私もバレエの先生ですが、先生である前に、二人の娘の親ですので、こう考えずにはいられません。

レッスンにおいても、発表会においても、一番は生徒です。

生徒が、将来大きく羽ばたくための土台作りが出来るスタジオ、一番大切な時をここで過ごしたい、過ごさせたいと思えるスタジオが私の理想です。

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また、よく私は「優しい先生」と言われます。

でも、生徒が出来るのにやらなかったり、怠けていたり、こちらの指導が無視されるような時にはもちろん厳しく注意します。

基礎練習の際、出来ないところなどは厳しく指導していきます。

私は若い頃、先生に、バレエの注意に留まらず、人格までを否定されるようなことばを、レッスン中も皆の前でしょっちゅう投げかけられていました。

私は不器用だし、言われたことをすぐに出来ないし、要領も良くないし、、と私も悪かったのだとは思いますが、さすがに自分を全否定されると、悔しいし、悲しいし、立ち直れない気持ちになりました。

その時に、私がもし先生になったら「こんな先生にだけはなりたくない」と強く思いました。

指導に力が入り過ぎてついつい厳しい物言いになってしまうとか、否定的な言葉で厳しく指導することはこれから厳しい世界でやっていくために必要なこと、生徒の為なんだという考え方もあると思いますし、それはそれで正しいのかもしれません。

それでも私は、生徒を否定するような言葉を使って指導することは絶対にしたくないし、出来ません。

生徒が、バレエが上手であろうがなかろうが、長年やっていようが始めたばかりであろうが、子供であろうが大人であろうが、皆バレエを頑張っている一人の人間です。

指導の際に私が大切にしているのは、思いやりをもって丁寧に、一人一人と接していくこと。

バレエに関して厳しく指導する場合でも、これだけは絶対だと思っています。

ここまで、私の考える理想のスタジオ・講師像について書いてきましたが、これはあくまで私一個人としての思いです。

それぞれバレエ教室によって特色があり、考え方も様々だと思います。

立派な教室だから安心な気がするとか、色々な生徒がコンクールで入賞しているし良さそうとか、費用が安いしとか、うわべだけで見てしまうのは、もったいないと思います。

バレエ教室を探されている方は、その教室が自分の理想に合っているか、そこの先生の考え方に共感出来るか、といったところまで見てみたらよいのかなと思います。