バレエスタジオ・ベルのホームページをご覧いただき、ありがとうございます。
講師の柄本奈美と申します。
踊る側の立場から教える側の立場になり、また、2児の母親になり、
講師の目線と、生徒や保護者の目線から見て、
「どんなバレエ教室が人に喜ばれる教室か」
「自分の娘を通わせたいのはどんな教室か」を模索し、
自分が考える理想のバレエスタジオを作ることにしました。
理想のバレエスタジオとは
私が考える理想のバレエスタジオとは、
「生徒のことを一番に考えることの出来る、
生徒のためのバレエスタジオ」です。
私は、生徒一人ひとりとしっかり向き合い思いやりをもって接すること、
生徒や保護者の方との信頼関係を築くこと、
そして生徒にとって良い環境を整えることを徹底していきます。
純粋にバレエを楽しめる環境
当スタジオは幼児、子供、大人クラスとありますが、
全てのクラスで「純粋にバレエを楽しめる」ことを大切にしています。
バレエの世界は競争社会なので、
妬みなどからどうしてもギスギスした人間関係を生みがちです。
しかしそのような環境では、純粋にバレエを楽しむことなど出来ません。
当スタジオでは、私が自分の考え方やスタジオの雰囲気などを、
ブログを通して紹介し、そこに共感して来てくれている方ばかりなので、
講師も生徒も保護者の皆さんも、
面倒な人間関係など全くなく、皆とても仲が良いです。
そういった環境なので、生徒達はとても楽しそうにレッスンしています。
人間関係で悩んで他の教室から移ってきた方々からは、
「バレエがこんなに楽しいものだということをすっかり忘れていました」
「毎回のレッスンが本当に楽しみです」との声をいただいています。
この環境は今後も変わらず維持していきたいと思います。
お互いの信頼関係を築く
生徒達との信頼関係を築くこともとても大切だと考えています。
例えば、先生が恐くて生徒が萎縮していたり、
先生が生徒のことをよく見ていないという状況では、
信頼関係など全く成立しません。
生徒と先生の間に信頼関係がしっかり築かれていれば、
生徒は先生の指導に素直に従うことが出来、
真っ直ぐに伸びてくれるはずです。
否定的な言葉は使わない指導
指導の際に私が気をつけていることは「否定的な言葉は使わない」です。
バレエは難しいもの、生徒はそれを一生懸命に練習している訳ですから、
少しでも出来たときには褒めて、
もっと出来るようになりたいという気持ちを持てるようにしていきます。
もちろん、怠けていたり、出来るのにやろうとしないという時には、
そのことを本人に気付いてもらうために厳しく注意はします。
ただ、私が若い頃には、バレエのレッスンで、
人格までを否定されるような注意の仕方をずっとされていたため、
いつも自信を欠いていたし、精神的に非常に辛かったので、
私はそんな先生には絶対にならないと強く思っていました。
否定的な厳しい物言いが、指導するうえで良いのかどうか、
賛否両論あるかと思いますが、
私は生徒に対して否定的な厳しい言い方は絶対にしたくないし、出来ません。
レッスンに関しては、楽しく踊るのはもちろんですが、基礎に重点を置き、
正しいポジション、正確な動きをきちんと身に付けられるように進めていきます。
手の位置、足の位置、細かく指導しています。
足の出し方ひとつにしても、手の動きにしても、
正しい動きは美しい動きです。
バレエを習うのにどんな目的があろうとも、
基本をしっかり身に付けて欲しいという思いで指導にあたっています。
生徒の思いを尊重し、応援してあげたい
生徒さんの中には、バレエの土台が作られた頃に、
もっと上手な子が沢山いるような大きい規模のところで踊りたいと、
思うようになるかもしれません。
以前に、幼児の頃から習いに来ていた子が、成長するにつれて、
「もっと上手な子が沢山いて、沢山レッスン出来るところに移りたいので、
このスタジオは辞めます。」と、
保護者の方からメールで連絡が来てそれきりになったことがありました。
私としてはその生徒さんを大切に思っていたので、ショックだったし、
直接会って本人の声を聞きたかったです。
次のステップに進みたい意志を本人が見せてくれていたら、
応援する気持ちを持てたのにと思うと、残念でなりません。
そのような時は、その真剣な思いを、
生徒さんから直接聞かせて欲しいと思います。
生徒さん本人がその思いに対する誠意をしっかりと見せてくれたら、
こちらも「頑張れ!」と背中を押してあげたいと思います。
大切に育ててきた生徒が巣立っていくのは、
講師としてはとても寂しいものです。
私は、生徒の立場も先生の立場も両方経験しているので、
それぞれがどんな思いなのかよく分かります。
しかし、やはり生徒の思いを一番に尊重出来る、
応援してあげられるスタジオというのが、本来あるべき姿なのだと思います。
一般的にバレエの先生は生徒を自分の教室に囲って、
外には出したくないと思いがちです。
バレエの世界は狭く、生徒は先生が恐くて、
辞めるに辞められないといったようなこともあるようです。
しかし、バレエ教室で一番であるべきは、先生ではなく生徒です。
先生が一番になってしまうのは違うと思います。
もちろん先生は一番上に立って生徒を指導し、
生徒は先生を尊敬し、その指導を受けます。
これは先生と生徒が良い関係を保つためにとても重要なことです。
そういった意味での一番ではなく、「先生が一番になる」というのは、
先生が権力で生徒を支配する、先生が発表会で主役を踊ってしまうなどです。
生徒と親のための発表会を
先生やゲストダンサーが主役を踊り、
その周りを生徒達が踊るという発表会をよく見かけます。
これは、生徒達が先生にどうしても主役を踊って欲しいとか、
プロのダンサーと一緒の舞台に立って、
生徒に良い経験をさせてあげたいという理由があるのならいいのですが、
先生やゲストダンサーが舞台で踊る費用まで、
生徒達が発表会費として負担しているとしたらどうでしょうか。
さらに、発表会や教室を豪華に見せたくてゲストダンサーを呼んだり、
先生が主役を踊りたいから発表会で主役を踊ってしまうとしたら、
全く生徒目線ではありません。
そもそも発表会は、生徒が日頃の練習の成果を発表する場であり、
先生は生徒が実力を舞台でしっかり発揮出来るようサポートする立場のはずです。
さらに、私が母親の立場で娘の発表会を見るとしたら、
見たいのは自分の娘が踊っている姿です。これが見られれば十分です。
娘の発表会で先生やプロのダンサーが主役を踊るのを見たいとは思いませんし、
プロの踊りや全幕物の立派な作品を見たければ、バレエ団の公演を観に行きます。
バレエスタジオは誰のためにあるのか。
生徒のためです。
私はバレエの先生ですが、先生である前に2人の娘の母親なので、
こう考えずにはいられません。
レッスンにおいても発表会においても、一番は生徒であるべきです。
常に思いやりの気持ちを持つ
娘はある場所で、大切な一生徒であるはずにも関わらず、
ある先生から全く思いやりのかけらもない対応をされたことがあり、
私は親として大変失望した経験があります。
その時、こんなことが決してあってはならないと強く思いました。
私は先生として、生徒一人ひとりとの関係を大切にしていきたいし、
常に思いやりを持って、何かあった時にはしっかりと、
生徒に寄り添えるようにしたいのです。
人が生きていくうえで最も大切なことは、
「人を思いやる気持ち」だと私は考えます。
そして、思いやりを持って接すれば、
必ず思いやりを持って返してくれると信じています。
そうやって生徒には、
「人を思いやる気持ち」を自然に身につけていって欲しいと思います。
日常で辛いことがあってもバレエスタジオに来たら、
何だかホッと出来る、優しい気持ちになれる、楽しくバレエが出来る。
そんな温かい環境を提供したいと思っています。
そして生徒が、将来大きく羽ばたくための土台作りが出来るスタジオ、
一番大切な時をここで過ごしたい、
ここで過ごさせたいと思ってもらえるスタジオが私の理想です。
最後に
私は今のこの仕事がとても好きです。
私のスタジオに習いに来てくれている生徒さん達のこともとても好きです。
自分は数え切れないほどの舞台に立ち、ソリストの役をいただいて踊り、
女優として映画に出て、本当に様々な経験をしてきました。
いつも懸命に走り続けていて、走ることをやめると落ちる一方で、
常に自分と戦っていました。
上手くできない自分に悩んで、挫折することもしばしば。
そうして戦い続けて、結果的には沢山の宝となる経験を積めた訳ですが、
心のどこかで、バレエダンサーという職業は、
自分には向いていないのではないかと感じていました。
そして、自分のバレエスタジオの仕事を始めて、
試行錯誤しながら続けていくうちに、
これが私の天職かもしれないと、ようやくそう思えるものに出会えた気がします。